SDR

「Software Defined Radio」の略で、ハードウェアに変更を加えることなく、ソフトウェアを書き換えることで、携帯電話やPHS、無線LANといった通信方式の異なる無線通信を1つの無線端末で利用可能とする技術のこと。「ソフトウェア無線」や「ソフトウエアラジオ方式」とも呼ばれる。通常の無線通信は、それぞれの通信方式に適合する専用の信号処理回路(ハードウェア)を用意する必要があり、1つの端末が利用可能な通信方式は基本的に1つである。中には2G携帯電話と3G携帯電話の両方が利用できるものや、携帯電話と無線LAN通信が利用できるものなど、いわゆる「デュアル端末」も存在するが、それでもせいぜい2つの通信方式に対応するのがやっとである。多くの場合、新しい無線通信規格が登場し、その新しい通信規格を利用するためには、新たに基地局などのインフラを整備し、端末も新しいものに買い替える必要がある。これに対してSDRは、通信のための信号処理回路(ハードウェア)には汎用的なものを用い、従来の通信方式では半導体が行ってきた通信方式に依存する処理の大部分をソフトウェアで行う。新しい通信方式が登場してもハードウェアの交換は行わず、ソフトウェアの書き換えを行うことで対応が可能となる。基地局も端末も既存のものを継続して利用することができるため、インフラの有効活用が可能となる。また、複数の通信方式を同時に利用することも可能となるため、将来的には携帯電話やPHS、無線LAN、衛星通信、GPSなどいくつもの無線通信に対応する「ユニバーサル端末」の登場も期待されている。SDRを実現するためのデバイスとして、現場でプログラミング可能なゲートアレイ「FPGA(field programmable gate array)」に期待が寄せられており、今後はFPGA最適化・小型化・低消費電力化が主な技術的課題であるともいえる。SDRは1970年代に米軍が軍事用の技術として研究を進めていた技術であったが、1990年代の冷戦終結などを機に民生用の技術に転換された。現在では各国で研究開発が進められており、アメリカではSDR技術の標準化団体「MMITS Forum(現SDR Forum)」が1996年に設立されている。日本国内では、1999年11月に通信総合研究所がPHS、GPS、ETCの3機能を持ったSDR端末を発表。2001年11月にはNTT未来ねっと研究所がPHSと無線LANの両方に対応できるSDR機を発表した。

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